人工知能学会セマンティックウェブとオントロジー研究会「ライトウエイト・メタデータ特集」のお知らせ

国立情報学研究所の大向です.

前回の勉強会からはや1年が経ちましたが,みなさまいかがお過ごしでしょうか.ご存じの通り,この1年の間でBlogを取り巻く状況は大きく変化しました.Blogの認知度は急速に高まり,国内のBlogサイト数は300万を超えましたし(総務省調べ),ソーシャルネットワーク(SNS)やSocial Bookmark(SBM)など,コミュニティを強く意識したアプリケーションが多くのユーザを集めるようになりました.

このような背景のもと,メタデータの重要性が高まっています.RSSとRSSリーダーがBlogの閲覧スタイルを根本的に変えたのと同様に,SNSやSBMのメタデータ化がユーザにとって有益なアプリケーションを生み出す土壌になる可能性は高いと思われます.

今回,人工知能学会セマンティックウェブとオントロジー研究会では,このようなユーザ指向のメタデータを「ライトウエイト・メタデータ」と定義し,これらに関する研究会を開催します.多くの方々の発表と参加をお待ちしています.以下に詳細を記載します.(参加については事前申し込みは必要ありません)

ちなみに,今回の研究会は「メタデータ」を銘打っていますが,Blog勉強会特別枠(?)として,最近WWW2005や人工知能学会全国大会などで発表されたBlog研究のサーベイを行いたいと考えています.もし協力していただける方がおられましたら大向(i2k@nii.ac.jp)までご連絡いただければと思います.

それではよろしくお願いいたします.

■■■■■■■■ 第10回 SWO研究会 論文及び参加募集 ■■■■■■■

□日時:7月19日(火)
□会場:国立情報学研究所会議室(学術総合センター12階)
アクセス地図 http://www.nii.ac.jp/help-j.html
□参加費:無料
□募集発表:特集および一般
□特集テーマ:「ライトウエイト・メタデータ(blog, SNS, wiki他)」

近年,blogにおけるRSSの利用,SNSにおけるFOAFの利用,social taggingなどWebにおける新しいメタデータの利用法が進んできています.これらはWebに意味を付加して流通させようという意味ではセマンティックWebと方向性を共有しているといえます.今回の特集では,このような新しいWeb上のアプリケーションの可能性を探っていきたいと思います.

また,通常の研究会同様,セマンティックWeb一般に関する研究も広く募集いたします.
(担当幹事:武田 英明)

========発表申し込みフォーム========
研究会:第10回一般
発表申し込み締め切り:6月30日(木)
送付先: yusuke@jaist.ac.jp まで[subject:SW&Onto]でご送付ください。
タイトル:
著者(発表者に○):
所属:
概要(数行で):
発表希望時間(以下の3つから1つ)を選び,他を削除してください。
    15分(発表10分・質疑5分)
    25分(発表15分・質疑10分)
    35分(発表20分・質疑15分)
著者連絡先email:
========発表申し込みフォーム(終わり) ========

原稿締め切り:7月12日(火)までにA4で10ページ以内のPDFファイルを送付していただきます。研究会ホームページに掲載します(冊子は作成しません)。申し込みいただいた順にページ番号をお知らせしますので,ページをつけた原稿を作成していただきます。なお、原稿のWEB上での公開について特別な配慮が必要な場合(特許申請などの理由で)は、発表申し込み時にその旨をお知らせください。

研究会ホームページ:http://www.jaist.ac.jp/ks/labs/kbs-lab/sig-swo/
委員長 :山口高平(慶應大学)
副委員長:池田満(北陸先端科学技術大学院大学)
幹 事 :武田英明(国立情報学研究所)
     津田 宏(富士通研究所)
     平松薫(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
     堀 雅洋(関西大学)

Posted by i2k at 2005.06.26 16:00 | Permalink | Comments (0) | TrackBack (31)

Community Webプラットフォーム

大向 一輝, 松尾 豊, 松村 真宏, 武田 英明: Community Webプラットフォーム, 第19回人工知能学会全国大会論文集, 2005.

近年普及が進んでいるWeblog,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は,個人の存在をWeb上に表出させ,そういった個人間のコミュニケーションを活性化させる働きを持っている.同時に,RSSやFOAFといったメタデータの流通によって,ソフトウェアによる情報の集約や検索,編集が容易になった.このように,Webはコミュニケーションの様式およびそれを支える技術の両面において大きな変化を遂げつつあるが,これらの変化が個人の行動に与える影響については考察がなされておらず,また変化の方向性についての議論も少ない.そこで,本提案では,Webを個人の日常的なコミュニケーションやコミュニティ活動の場として捉え,この機能を有効に支援するための技術的要件および実現可能性について議論を行う.また,モバイル環境やユビキタス環境といった新たな情報技術との統合についても検討する.
本提案のもう1つの目的は,セマンティックWebの分野で議論されてきた情報の信頼性に関する問題や,オンラインコミュニケーションの基盤となる意味体系の整備,情報の伝搬範囲のコントロールなどの課題を,コミュニティの成員が日常的に行うローカルな情報の組織化によって解決することである.これにより,従来のトップダウン型・ボトムアップ型の情報処理パラダイムとは異なる情報流通形態を実現する.
研究の戦略としては,初期は分析研究と提案研究を個別に進める.分析研究では,WebページやWeblog,掲示板等から抽出可能な人間関係ネットワークについての分析から,個人間のコミュニケーションのモデル化を行う.提案研究では,メタデータ,パーソナルネットワーク,コンテンツマネジメントといった要素技術をもとにシステムを構築し,実証実験等を行う.中期以降はそれぞれの成果を統合した「Community Webプラットフォーム」の提案を中心に,アプリケーションの開発とその有効性の検証を行う.
本提案は,すでに起こりつつある技術の変化,ならびにユーザの行動の変化に適応したWebのアーキテクチャを構築することを目標としている.よって,本提案においては,スケーラビリティを含め,実用可能性を強く意識したAI技術の設計に注力し,成果は原則的に一般公開するものとする.

In this paper we propose Web-based communication environment called "Community Web Platform".
Our platform provides an easy way to exchange personal knowledge among people with lightweight metadata such like RSS and FOAF.
We investigate the nature of "personal trustness" on the environment since it is one and only measure for evaluating subjective information and knowledge.
We also discuss how to develop and maintain Community Web applications from our exrerience.

Paper PDF [256KB]
PowerPoint [7.1MB]

Posted by i2k at 2005.06.16 02:23 | Permalink | Comments (0) | TrackBack (24)