セマンティック・ウェブサービスの研究
小出 誠二
セマンティック・ウェブサービスの研究
English
将来のシステム構築はワークフロー開発とドメインオントロジーの構築に還元され,大規模で安定的なシステム開発が迅速に行われるようになる.

【SOAの普及とセマンティック技術】
  現在すでにサービスオリエンテッドなシステム構築がソフトウェアベンダーによって盛んに喧伝され,先進的企業から一般に徐々に普及しつつあります.将来いたるところでウェブサービスが開発され,提供されるようになると予想されますが,これを企業内SOAから企業間の連携へ進め,さらに現在普及しているウェブページのように誰でもが一般に利用できる公共のインフラストラクチュアにしようとするとき,独立に開発された異なるウェブサービスを,互いに結びつけることのできるセマンティック技術が必要とされるようになります.

【セマンティック・ウェブサービス技術 = オントロジー+エージェント】
  セマンティック・ウェブサービスを可能にするのは,サービスの意味を支えるオントロジー技術と,オントロジー記述を解釈してサービスを実行することのできるエージェント技術です.XML記述が機械可読であるのに対して,W3Cによって標準化が進められているRDFやOWLはXML記述を機械解釈可能にする技術と言われます.オントロジーは,もともとウェブとは独立に人工知能分野において研究開発が進められたきたものですが,セマンティックウェブの出現によって,それを可能にする中核技術として認知され,世界中で精力的に研究開発が進められるようになりました.
 一方,オントロジーが世界の事物やできごとに関する記述だとして,その記述を読んで解釈することで,人との仲立ちをするのがエージェントです.SOAの視点から見れば,ウェブサービス連携はワークフローを具体化したものにほかなりません.ウェブサービス用エージェントは,オントロジーによって注釈されたワークフロー記述を解釈し,ウェブサービスを連携させ,それを解釈実行します.セマンティック・ウェブサービスを実現する上で,オントロジー研究と並んでウェブサービス・エージェントの研究も欠かせません.

【システム開発 = オブジェクト指向+サービス指向+オントロジー】
  それでは,どうしてエージェントがサービスの意味を解釈実行できるようになるのでしょうか.それは極端に単純化して言えば,現在プログラマー個人の生産物に帰せられているオブジェクト指向プログラミングにおけるクラスを,もっと広範囲に,社会全体で共有することができるようになるからです.現在のオブジェクト指向プログラミングでは,Java言語におけるクラスは共有されても,アプリケーション開発において各プログラマーが開発したオブジェクトクラスは,ライブラリーとして共有されず,いたるところで似たようなクラスが開発され続けています.ワークフローがライブラリー化され,アプリケーション用のオブジェクトクラスがライブラリー化されて,社会的に共有されるようになったとしたら,これまでのシステム開発の姿は一変するでしょう.SEはエージェントの助けを得て,社会の中に散在して提供されるウェブサービスを集めて,必要なタスクを実行するようなワークフローにしたがって,それらを連携させます.ここで必要なことは,十分に豊かなワークフローパターンが準備されていることや,それらを具体的に実現する個々のウェブサービスが提供されていることと並んで,クラスとして整数や浮動点少数やストリームだけでなく,各種単位(メータなど),基本的物理量(温度,流量など)に始まって,一般のアプリケーション開発において出現する概念や語彙(入金,出金,発注,決済,開始,中断,前に,後から,行為,銀行,株式会社,等々)をしっかりと定義し,社会全体で共有できるようにすることです.

【セマンティック・ウェブサービスの研究を進めています】
  すでに世界中でそのような社会の実現に向けて,研究が進められていますが,国立情報学研究所武田研究室においても,セマンティック・ウェブサービスの研究を進めており,これまでの研究成果として世界初の OWL Full 処理系が開発されています.

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