本論文では、WWWをはじめとする文書のブラウジング行為を対象として、こうした個別的な知識の獲得・蓄積・利用のプロセスを計算機を用いて支援するための手法について考察し、そのためのシステムの提案と実装について述べる。
提案するシステムでは、個別的な文脈を計算機上に獲得するための手法として、それぞれのユーザが知識を獲得する際の状況的文脈に注目し、文書のブラウザをそのまま知識入力インターフェースとして用いることで、知識の背景となる暗黙的な文脈を獲得する手法を試みる。また、本手法を用いて、入力された知識をその文脈と共に組織化して蓄積することにより、ユーザが明示的には示さなかった知識のつながりを得ることが可能にする効果が期待できる。
上述の手法に基づいて蓄積・構造化された知識を用いて、ユーザの入力に対して関連する文書へのリンクを提示するシステムを試作し、本手法の有効性についての検証と考察を行う。